研究室探訪。
骨の髄まで生粋文系の私が、「レーザー実験」なるものを間近で見てきた。
忙しすぎて帰れないD氏の研究室に、夕飯(今日はお好み焼きでした)をデリバリーすることになった。すっかり研究室への不法侵入も慣れ既に複数回お邪魔はしているが、やはり何度見ても本当に異世界。もう何度見ても興味深い。
その上今回、D氏は最近「レーザー実験」をしているらしく、それを少し見せてくれるらしい。おお、素晴らしい。お好み焼きソースとマヨネーズと鰹節とおやつのクッキー持参で現れた怪しい女だったが、役得はあるものだ。
想像の中で、「レーザー実験」とはMission:Impossibleにありそうなレーザーポインタ的赤い線のイメージであったが、目の前に見えるのは…
ものすごく貫禄のある顕微鏡。
100万分の1(?)の何かを見ることができるらしい。私の最後に顕微鏡を使った記憶は、多分ミジンコの観察。スケールの違いに既に幾分ひるむ。
しかし、実験を開始するために部屋を暗室にしたところ驚いた。この実験、本当に美しいのだ。写真の真ん中あたり、微妙に青い光をはなっているところをご覧頂きたい。
ここの観察のために部屋を暗くすると、こう見えるようになる。
まさに、暗闇に光る青の宝石。
別の角度から、この該当箇所をクローズアップすると、こんな感じ。
思わず「ああ、ポムじいさん……!*1」と叫びたくなる。
実際、顕微鏡から見える世界は、ほとんど星屑の輝く宇宙。
超絶ミニマムなはずなのでそんなはずはないのだが、星座を作ってしまいたくなるように、小さな小さな光が瞬いている。顕微鏡の世界で勝手にさそり座を作り出してにまにまと笑う私。小さな世界にも神話が作れるかもしれない。
ちなみに、今回の実験を見せてもらった結果、私が一番驚いたのはその「緻密」で「繊細」な準備作業にだった。
ご存知の方も多いが、D氏という人は……こうズボラというか大雑把というか些細なことを気にしない(してくれない)というか、まぁ良い意味でも悪い意味でも本能の方なのだが。ものすごく繊細な作業の積み重ねで、恐ろしく大変で手間のかかりそうな実験にも丁寧に取り組んでいた。
やろうと思えばできるのか!と驚愕しつつ「ならば、繊細さを要するあれもこれもそれも実はできるのにやらないだけでは……」と疑惑をもつ嫁。
しかしふと、別の仮説に気づいた。
「ここで、全ての繊細さを使い果たしているのかもしれない……!!!」
…………我が家の「繊細さ」は改善しない見込みを呈してきた。