人の多い理由を考える。

 前回のパーティで出会ったD氏の友人のひとりが、こんなことを言っていた。
 「NYで好きな場所ですか?んー……ああ、Brooklyn Bridgeは感動しましたね。一回行く価値はありますよ。しかも、橋のたもとにある石焼き釜のピザ屋が本当に美味しいんですよ。」
 「へー、そうなんですか」
 と微笑みつつ、心の中で「よし、行こう」と即決した私。ワラビー(友)であっても、即決するだろうと確信している。美味しいもの好きが「石焼き釜」に惹かれないわけがないのだ。

 さて、Brooklyn Bridgeである。
 映画「ゴジラ」でゴジラが息絶えたところでもおなじみ(そうらしい)マンハッタンの名所*1である。
 実際、橋に悶える趣味はあまりないが、それでも吊り橋の細緻な作りにはやはりしみじみと感じ入るものがある。しかも、何よりも景色が美しい。ブルックリン側からスタートしたため、橋の向こう側にマンハッタンの高層ビル街が見え、川の向こうには自由の女神像。嘘のように美しい青い空とともに、なかなか心洗われる光景であった。

 意外だったのは、予想外なまでの人の多さ(写真には載っていないが、実際とても人が多い)。橋に興味のある人などほとんどいないだろうと思っていたのに、何故かわきゃわきゃと人々が同じように橋の上を歩いている。何故これほどに、人が多かったのか。
 私の仮説は「リピーターが多い」というものである。
 私の最愛(それはもう愛しちゃっている)の友人リエコ嬢の2番目のお姉さん*2は、「島」をこよなく愛する人として知られている。最初に聞いた時は冗談かと思ったが、「島」のあれこれを調べるのが楽しくて仕方がない名産品や海岸線や土地の有り様などを調べるのがとてつもなく楽しい……という女性は世の中にひとり確実に存在するのだ。
 つまり、あの日Brooklyn Bridgeを歩いていた人々の中には、「橋」好きという人種が含まれていたのではないだろうか。ならば、リピーターで数百回あの橋を歩いている人がいても不思議はない。たたずまいといい、見える景色といい、「橋」好きにはたまらない橋だと思う。橋にほとんど興味のない私も思わず好感を持つ位だ。
 世の中は広い、と多分幾分間違った方に妄想しながら、てくてくと歩くことを満喫した橋の上なのであった。

 ちなみに。
 何故私が真っ先に言及するだろうピザ屋についてのコメントが皆無なのか。
 よりにもよって…………お休みだったからだ……。
 リベンジを誓っている。それはもう力強く。

*1:最初の1年くらいは生真面目に名所を歩きレポートしてみようと考えているのだ。新しくすみ始め色々とものめずらしいのはもちろんだが、何より今後ニューヨークに来てくれそうな友人各位への情報提供の一環である。

*2:ちなみに、「甲子園」マニアとしても名高い。