祝杯は美味しい。

 最愛のリエコ嬢に聞かれた。
 「新しいお友達はできた?」
 ……えー、最近一番良く話すのは、英会話教室で隣のエクアドル人のおばちゃんか、イラク人のおばさまの息子のアリー君かな。このアリー君との交流は今度ネタにするとしても、実はこの「お友達」というリエコ嬢の問題提起は、ものすごく重要であったりする。
 私も海外生活4年目。海外でこれから暮らす可能性のある方に恐れ多くもアドバイス的なものをするとしたら、ひとつだけ毎回言っていることがある。
 「ちゃんと友達を作れ。」
 当たり前すぎる命題だが、人としてある程度の情緒を持ち続けたいと思ったら、確実に必要不可欠なものではないかと思われる。
 海外という異文化の中で暮らすということは、多かれ少なかれ今までのコミュニケーションが断絶することを意味する。価値観の異なる社会の中での生活を余儀なくされた時、気の置けない「友達」という存在が、どれほどに自分を支えてくれていたかということに気づく。メールや電話やブログによって伝えられる徒然にほのぼのとすることで日本の友人や家族の得がたさを知ることにもなるが、同時にリアルで会える「友達」の存在は想像以上に重要である。
 私はかなり順応性が高い上に職場にものすごく恵まれ、尊敬するボス達やマダムと一緒に仕事ができたが、それでもあのシンガポール時代出会った「ワラビー」という名前*1の友人がいなければあの空間で生き延びられていたかは怪しい。
 では、「友達」などというものはどこで作るものなのか。
 これがもう運命としか言いようがない。むやみやたらと飲み会などに参加してみた時代もあるが、結局実を結びはしない。このワラビーとは、仕事で無理矢理参加させられた卓球大会で出会った。世の中、まだまだ謎に満ちている。
 そのワラビー、本日誕生日。
 ニューヨークで祝うことになった運命の面白さに笑いつつも、勝手に祝杯。

 Blue Moonというビール。ベルギースタイルの小麦麦芽を使用したエールビールらしくかなり飲みやすく、柑橘系の香りがあるので少し南国風の雰囲気もあって好印象。かなり好み。
 ……え?「祝杯」は、飲む口実なんかではないですよ(穏やかな微笑み)。

*1:一応あだ名です。念のため。ワラビー帰国後にタクシーに乗っていたとき「ワラビーに会いたい……」と呟いて、同乗していた後輩に「��('◇'*)」となられたことを思い出しました。女友達のあだ名です、あだ名。