文系女子に問いたい。

 世の文系女子に問う。
 フラスコがそこら中においてあって、よくわからないビーカーが放置されていて、薬品棚に薬品がびっしり並んでいて、白衣が無造作に壁にかけられていて、細胞を増やすために小刻みに揺れる機械があって、美味しいエスプレッソが飲めるような研究室――
 貴女はそこにときめかずにいられようか?

「私がこの世でいちばんときめく場所は研究室だと思う。
 どこのでも、どんなのでも、それが研究室であれば実験のための場所であれば私はときめく。できれば機能的でよく使いこんであるといいと思う。乾いた清潔な白衣が何まいもあって透明なフラスコがぴかぴか輝く。」
 ……思わず吉本ばななごっこ*1をする位、興奮している。
 いわゆる、研究者D氏の職場、「研究室」にお邪魔したのだ。
 実は、住居とD氏の職場がほぼ隣同士(!)のため、職場周辺にはしばしばお邪魔する。しかし、やはり研究室の中は別格。普段足をあまり踏み入れることはない。ただ、今夜だけは、他の研究仲間も既に退勤しているとのことで、じっくりとその中を堪能させて頂くことができた。
 プロフィール写真では白衣を着用しており、実際4年前は白衣を着て仕事をしていたが、実質的に理系的要素はほぼ私の中に存在しない(顔の見えない自画像を探した結果発掘されたという理由だけである)。骨の髄まで生まれも育ちも生粋文系、「研究室」などというものは果てしなく縁遠い。 
 そんな私の、「研究室」体験。
 フラスコがそこら中においてあって、よくわからないビーカーが放置されていて、薬品棚に薬品がびっしり並んでいて、白衣が無造作に壁にかけられていて、細胞を増やすために小刻みに揺れる機械があって、美味しいエスプレッソが飲めるような研究室(2回目)――
 言葉を飾らずにいえば、まさに「萌えた」。
 D氏にとっては毎日の職場であり、何故これほど小躍りされるのか理由は不明に違いない。
 あのね、これこそ、文系にとっての「ロマン」というものですよ。

*1:吉本ばなな『キッチン』の有名すぎる冒頭のパロディのこと。「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。どこのでも、どんなのでも、それが台所であれば食事をつくる場所であれば私はつらくない。できれば機能的でよく使いこんであるといいと思う。乾いた清潔なふきんが何まいもあって白いタイルがぴかぴか輝く。」