青春の行方。

 先日『1Q84』とともに大人買いしてしまった漫画とは……

 全10巻『ハチミツとクローバー』だったりする。
 久々に読み直したが、やっぱり好きだーとしみじみ思う。
 恋愛物語に見せかけながら、「自分」を探そうあがく登場人物たちがたまらない。元々、社会に出る直前……自我を確立させつつ未だ己が定まらない高校・大学時代くらいの独特のモラトリアム期の葛藤が大好物なのだ。「自分探し」とか「青春」とか「成長物語」、ああ聞くだけで心の底からときめくのは何故だ。
 ちなみに、好き/嫌いではなく一番共感してしまうのは、想像がついてしまうだろうが「花本先生」だったりする。
 甘酸っぱい片思いに「年寄りを切なくさせるかねぇ」と苦笑しながらも心痛めたり、それでいて自分も達観しきれなかったり過去を引きずっていたり無力感に密かに歯噛みするあたり、キャラだというのにシンパシーを感じざるを得ない。
「子供が子供なのは、
 大人が何でもわかってるって思ってるところだ 
 ――ったく、大人になったくらいで何が変わるよ?
 せーぜー腰が痛くなったり、駅の階段で息切れするくらいだ」
 (羽海野チカハチミツとクローバー』第7巻)
 第7巻で花本先生が↑と独白したりするのだが、実際リアルで私も前の職場の某方とこんな話をしながら飲んでいたくらいだ。言ったのは相手の方だったが……何と言うか、とてもわかる。若者たちが見ている「大人の自分」の姿と、実際の「大人の自分」とは何と違うことか。
 それでもそのギャップを埋めたいとも思うのだが、枯淡の境地など夢のまた夢。 
 現在、未だ熟読中。そろそろ読んだ回数が両手で数えられなくなってきた(笑)。