ホームシック。

 菅野彰さんという作家さんがいまして。
 15年くらい前から愛読している方なのですが、私の読書人生でも珍しいほどに共感するポイントの多い作家さんだったりします。ここ数年すっかりエッセイが中心になりつつありますが、小説だろうとエッセイだろうと今でも大事に大事に読んでいる方のひとりです。
 そんな方の新刊が日本より送られて来ました。

晴れ時々、生ビール

晴れ時々、生ビール

 まさに完璧☆すぎるタイトル
 もともとこの方のタイトルは「海馬が耳から駆けて行く」「不健全な精神だって健全な精神に宿りたいのだ」など、もしかして私の心の中を覗き見られているのだろうかというかパーフェクトすぎると感嘆の溜息しかでない見事なものが多いのですが、これほどに私の心を打ち抜いたタイトルがあるだろうか、
 この上、最新刊はもっと凄い。
雨が降っても、生ビール

雨が降っても、生ビール

 ネ申、降臨!!
 そう叫ばざるをえなかった私を許して頂きたい。本当にもうジャストミートに私の心を打ち抜くのです。
 その上、タイトルだけでなくその価値観や人生観までも共感しすぎてしまう。10歳近く年の差こそありますが、私にとってこの人の人生とは、私のもうひとつの人生のあり方
 「海馬」の後半から「不健全な精神〜」へ、そして「ビール」シリーズに至るまで彼女の日々は全くもって一貫しています。
 ………お酒大好きでいつも楽しく飲み過ぎていて、女子力が足りなくて独身相で仕事三昧の日々でたまに婚活とかしてみて、お母さんや弟さんと喧嘩しているのに仲がよくて、時々健康オタクになってみたりとかしつつ、それでも鈴木さん(編集者)と美味しいものを食べながら飲み歩いて、太ったなぁと言い出せば慣れないジム通いをして体を壊して、最愛の猫が死んだ時には心も壊して……
 それでも毎日、生きて。生きて。……
 私が独身日本に暮らしていた場合、まず間違いなく彼女のような生活を送っていただろうと確信を持って言えてしまうようなシンパシーを感じるのです。
 その上…
 何でこれほど気持ちがシンクロしてしまうかって、菅野さんに鈴木さんという編集者がいるように、私にもその時間を分かち合ってくれる友人がいたりするのです。
 その(無理矢理巻き込まれるだろう)相方が、通称有袋類。本来の正式名称をワラビーと申します。
 酒と食を共に楽しめてしまう偉大なる私の友人。一緒に時間を過ごすと楽しくて、一緒にお酒を飲むと一層美味しいのです。
 私が鈴木さんポジションな気はしつつも、まさに天下無敵の有袋類
 酒があって涙があってわけのわからん奮闘があって友人がいて、この方の文章は、まさに私のもうひとつの人生のあり方として生々しく想像できる世界。
 よって、読めば読むほどに、日本家族ワラビーが恋しくて仕方なくなってしまうのです。
 ……まぁ、長文で語ってしまいましたが、結局最近すっかりホームシック気味なのです、というお話でした。
 最近、にまで見ます(笑)。
 ただ、どれだけごねても次に帰れるのは
 今から待ち望むその時は、全力で楽しんでしまおうと思っております。
 どうかその時は遊んでやって下さいませ。  

追記
 ワラビーは時間があるときにこの方のエッセイを読んでにやつくのがいいと思う。「不健全な精神〜」の方は最愛の猫が逝ってしまうのには泣き過ぎてどうにもならなくなるけど、ビールシリーズはマラソンで何だか感動する。
 私はものすごくシンパシーを感じたぞ。君もかなり響くものがあるのではないだろうか(笑)。